DON'CRY -ドンクライ-

アニメやマンガ、ゲームに小説、音楽など、「作品」によって孤独から救われて生きている人のためのメディア

孤独なオタクプレゼンツ #自分を救ってくれたオタソン

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あの日、あの時、あの場所で聴いて救われた音楽は、きっと誰にでもある。
時に元気づけられ、時に突き落とされ、時に優しく包まれる…それが音楽の素晴らしさ。偉大なる力だ。

そんな訳で、今回はDON’CRY編集部員とライターに「自分を救ってくれたオタソン」を選んでもらった!
あなたにも自分を救ってくれたオタソンはありますか?

 

サクラ大戦2 〜君、死にたもうことなかれ〜 「夢のつづき」


アーティスト:帝国華撃団
セレクト:稲田ズイキ

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満たされなかった大学時代、時代に逆走して10年以上前のゲーム『サクラ大戦2』をやり終えたとき、このED曲を初めて聞いた。

この夢がずっとずっと つづいてほしい

この歌い出しを聞いた瞬間、涙が止まらなかった。

時代を超え、真宮寺さくらちゃんの最後の言葉を聞き、サクラ大戦という作品にお別れを告げた瞬間に、EDでさくらちゃんが歌うのだ。その歌詞は、僕の気持ちそのものだった。

そう、夢の世界なのだ。ゲームもアニメも。
夢のように輝かしく、でもいつか絶対に覚めてしまうもの。

でも、「覚めないでほしい」と愚かな祈りを最後のエンドロールに捧げてしまう。
そんな僕の気持ちにシンクロし、帝国華撃団はサビでこう歌ったのだ。

歌をさあ歌いましょ それが夢のつづき

そうか。僕が歌を歌い続ける限り、夢は終わらない。曲の中でさくらちゃんは生き続けるのだ。
僕は涙と笑顔が入り混じったわけのわからない表情で、帝国華撃団と一緒に「ララララララ♪」と合唱していた。

ふとした瞬間思い出す、終わってしまったあの作品の世界。
そんな時にこの曲は、「歌をさぁ歌いましょ!」と覚めない夢のつづきを、いつも僕に見せてくれる。そんな思い出の1曲だ。

 

Angel Beats 「Alchemy」


アーティスト:Girls Dead Monster
セレクト:カエデ

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「Alchemy」の歌詞は心の直視したくないところばかり刺してくる。
高校時代に聞いたとき、ズルすることばかり得意になりながら、理想は高々と掲げて、しかし何もしていない、そんな自分がいた。勉強の目的も見失って、将来のことも投げやりになって…。ただ惰性に溺れて、頑張ることを辞めた歌詞の内容は、正に自分のことを言われているようだった。

しかし、荒げるサビで、「そんな自分が嫌なら、理想に近づくため、辛かろうと歩け! 痛みを伴え! 時間は無限じゃないのだから!」と叫ばれる。
まるで頭では分かっていても行動に移せない自分のことを叱るような歌詞だった。

同時に、その熱い言葉は、直情に訴えかけるようなメロディにあわせて、歌っている本人も同様の悩みや葛藤を抱いているような印象を受けた。
だからこそ、お前は私と同じことをしてないでさっさと前に行け、とも聞こえた。

そんなこの曲は、私にとって単なる優しい応援ソングではない。傷ついた心を包んでくれるわけでもない。
そう、しょぼくれた自分の背中を、思いっきり蹴とばしてくれるファイティングソングなのだ!

 

∀ガンダム 「月の繭」


アーティスト:奥井亜紀 
セレクト:優

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「みんな、地球ってとってもいいところだぞ。早く戻ってこい。」
私が∀ガンダムを見たのは2012年の8月。東日本大震災から一年は過ぎたものの、私は未だセンシティブだった。
文明への不安、錯綜する情報と災害の恐怖。蔓延る偽善者達。かなり疲れていたし、人生と社会に辟易としていた。

そんな折に『∀ガンダム』を見たら、私の考えは一気に「地球はいいところだ」になった。

視界いっぱいの空、そんな誰も描けないものを描く地球は、美しいと思う。
人の文化が存在し、共存し暮らしている地球は、美しいと思った。
そう、本当に大事なのは人の幸せなんだ、という片鱗を見つけられた。

そして、物語の大団円にかかる「月の繭」。
すべてを包み込む壮大さ。霊的な奥井亜紀の声。最終回のサブタイは「黄金の秋」。五十話という長編の物語を、ひたすらに美しさへと収束させていった曲だった。

そよぐ麦草の衣擦れに、小さな者たちの鈴の音が秋を呼ぶ。
秋口の夜に月を見て、月を美しいと思う。
世界を美しいと思う。
人の住む、この星を大切に思う。
そんなときに唄いたい、ぼくにとっての大地讃頌だ。

 

第3次スーパーロボット対戦α 終焉の銀河へ 「GONG」


アーティスト:JAM Project
セレクト:タクヤツカモト

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JAM Projectのアツさが詰まっている、言わずと知れた究極のポジティブソング!
高校生当時、不登校になり、自分の居場所を見失って絶望していた。
そんな時に聴いたこの曲は、人生の意味、生きる意味を見失って彷徨っていた自分に喝を入れてくれた。守るべき未来があり愛がある、未来を恐れるなと、明日を取り戻せと、誇りを捨てるなと、まさに「人生のゴング」をJAM Projectが豪快に鳴らしてくれた!

なんといっても、この曲には強烈なヒロイック性がある。人生に対して漠然と感じていた不安や寂寥感を吹き飛ばす雄々しいメロディ。そして力強くストレートな歌詞を通じてJAM Projectは「お前は一人じゃない」、「お前は強い」、そして「未来に向かって戦え」と熱く心に語りかけてくる。

誰しも人生には戦うべき時が訪れるだろう。それが強大であればあるほど、身が縮こまるような思いをするかもしれない。

でも、そんなとき、僕はこの曲を聴いて自分にこう言うのだ。

GONGならせ!

 

ボーカロイド 「envy.」

アーティスト:巡音ルカ(P:古川本舗)
セレクト:ノダショー

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辛い時、熱い曲じゃなくて、何故か、もっと辛くなる曲を聴いてしまうことはないだろうか? 僕はそればかりだ。

涙が洗い流すはず、と思ってたんだろ?

高校時代、突如ハブられた僕にとって、他者は恐怖だった。そんな時期、毎晩毎晩、この曲を聴いた。そして聴く度に枕を濡らした。

痛みを握って そのまま目を伏せて 忘れようとする

忘れようとした。昨日を、今日を、明日の存在を。

この曲は僕を辛い気持ちにさせた。
ただ、疑問に思った。どうして、死にそうなくらい辛いのに、こんなにも辛い曲を聴いてしまうのだろう?

分からなかった。

でも、今思う。 この曲は自分にとっての「客観視」だったのだ。
否定と嘲笑という泥沼の中で、目を開けるのは余りにも困難だった。戸惑い、理解も出来ない日々に、心だけを置き忘れる危険性すらあった。

そんな時にこの曲は、目を開けられない僕の耳から入り、「自分は今、肯定されず辛いのだ、忘れ去りたいくらい孤独なのだ」と教えてくれた。
苦しみの形を認識することで、逆に僕は自分が欲しいものを理解し、求められた。(そしてmixiのオフ会に行った)

そんなヒントを、今夜もこの曲は教えてくれる。

 

魔神英雄伝ワタル 「STEP」


アーティスト:a・chi-a・chi
セレクト:アゴ長おじさん

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幼少期、病弱だった僕は、幼稚園に殆ど通えなかった。
両親は共働きで、家の中では1人で過ごす時間がとても多かった。友達がいなかったわけではないが、僕が病弱なのはみんな知っていて、子どもながらに遠慮されていたと思う。

それを見かねた両親は、よくビデオをレンタルしてきて僕にあたえてくれた。そのなかの作品のひとつが「魔神英雄伝ワタル」だった。

大人になってから両親が言っていたけど、当時の僕の写真は辛そうな顔が多いそうだ。それは、病気で辛いのが表情にも出ているからだ。深夜に病院に駆け込むことだってあったし、その頃の僕は常に戦っていた。病と、孤独とだ。

だけど、そんな苦しいとき、辛いとき、寂しいとき…優しさと共に、力強く背中を押してくれるこの曲のPOWERは、前を向く大切さを教えてくれた。勇気をたくさん分けてもらった。僕にとっては本当に救世主のような曲だ。

今ではいいおっさんになった僕が、虹を見つけるとすごくワクワクしてしまうのは、きっと「STEP」と、ワタルのせいに違いない。


正直まだまだ語り足りないが、今回はここまで! 

アニソン、ゲーソン、ボカロに東方何でもよし。
よかったら、みなさんの「#自分を救ってくれたオタソン」も、是非教えてください。

(文:カエデ@kaede06 編集:ノダショー@nodasyo03