不安入り混じる初日…
10月6日(土)、かつて新海誠が『ほしのこえ』を上映した自主制作アニメの聖地こと下北沢Tollywoodの周辺は異様な緊張感につつまれていました。
それもそのはず……。
この日、激画団制作「空中軍艦アトランティス」の劇場上映が、とうとう始まろうとしていたのです……!
昨年11月に公開されたたった1本の動画から始まったこのプロジェクトは、沢山の人を巻き込み続けてこんなところまで来てしまいました。
会場では、上映開始直前にコンビニのプリンターで刷られたという、文字通り出来たてホカホカなチラシ(あったかい)が配られ、そこに書かれたメッセージを見てすでに泣きそうになる……。
ホールへの入場が始まると次第に席が埋まっていき、空席を見つけるほうが難しいぐらい沢山の人が足を運んでくれました!
そんな沢山の人に見守られながら、いよいよ「空中軍艦アトランティス」の上映、スタートです……!
凄いモンを見た…!
一言で言うなら、「空中軍艦アトランティス」めちゃくちゃアツかったッ!!!
上映までにさらに5分が追加された約19分のアニメーション。それを見ただけで、胸の中で膨大な熱量が暴れまわっているようで、興奮が収まりませんでした。
「アニメが好きだ!!!」その気持ちをここまでダイレクトにぶつけられた経験は、今までになかったと言い切れます。
トークイベントスタート!
恐らく誰もが強い興奮を抱いたまま、トークイベント前半、DON'CRY×激画団の対談が幕を開けました。
まずは激画団の拠点、激画荘への初取材のエピソード。
外を灯油の移動販売車が近くを通った途端、「あれを逃したら僕らは凍死するんです!」メンバーが一斉にそこへ突撃していったエピソードや、
「激画荘で雑魚寝した回数によって激画団員としてのレベルが決まる!」という過酷かつユニークな生活ぶりに、会場は爆笑の渦に包まれました!
話の内容が激画団創設にまつわる内容になると、
「自分の好きだった80~90年代のようなアニメが、どんどん少なくなっていくのが悲しかった。」
「美大のアニメ科なのに、アニメを作っている人が余りに少なかったから、じゃあ俺たちで作ってやろう!となった。」
と、長野監督のトークにも熱が!
純粋にただアニメが好き。だから、それを自分たちでカタチにしたい。
そんな想いに触れたからこそ、我々ドンクライも応援団として立ち上がり、この劇場上映を実現させるために奔走したのだと、実感させられましたね…。
金子祥之さん&サプライズゲスト雨宮哲さんが登場!
トークイベント後半には、絶賛放送中のアニメ「SSSS.GRIDMAN」の監督を務める雨宮哲さんと、同アニメの助監督を務める金子祥之さんが登壇!
雨宮さんからは、
「今、プロの現場でも手書きでロボットを描きたがる人なんて全然いない(笑)」
「汗くさくて最高だった!スクリーンから汗がしみ出してるんじゃないかと思うぐらい(笑)」
とアトランティスへの率直かつポジティブな感想が。
その後も、激画団にとっての“パロディ”とプロの考える”パロディ”についてや、制作現場の士気の上げ方などの興味深い話が続きました!
激画団メンバーの今後については、作監の内田君から
「1年間休学して自分を見つめなおすつもりです。」
という少し驚きの発言が飛び出すと、すかさずお二人から
「あれぐらい描けたら普通は調子に乗るのに凄いね!でも、自分を見つめなすのは大切なこと。」
「アニメの世界はいつでも入ってこられるのがいいところだから(笑)」
とプロならではのコメントが。
熱量たっぷりの激画団と、アドバイスを軽快なトークに織り交ぜるお二人の対談は最後まで盛り上がり、初日は最高のかたちで幕を閉じました。
そして2日目!
2日目は前日以上の盛況ぶり。
トークイベントに来て下さったのは、『月刊!スピリッツ』で好評連載中の『映像研には手を出すな!』の作者、大童澄瞳先生が登場!
実は本番前の打ち合わせで、かなり長野監督と激論を交わしていたようで、二人の息はある意味でピッタリ(笑)。
「空中軍艦アトランティス」を成り立たせていたパロディという要素に対し、大童先生は、
「僕の場合は、オリジナルの作品を作ることに意味を見出している。」
「パロディはキチンとしたリスペクトや土台がないといけない。ただなぞるだけのトレースに意味はない。」
と、それを貫いた長野監督とはまた違う主張をされました。
表現へのスタンスはまさに対極的とも思われる二人ですが、かなり意気投合した様子。
「いつか生身で空を飛びたい」という願望で爆笑しあったり、爆発のエフェクトについて15分以上マニアックなトークを繰り広げていました。
2人の盛り上がりに引き込まれるかたちで、私たちも大いに笑ったり関心させられたり。
あっという間に時間は過ぎていき、第2回のトークイベントも惜しまれつつ終了。
最後には激画団のメンバーたちwith大童先生が、来場された方々にペコリと一礼。会場は大きな拍手が鳴り響きました!
打ち上げじゃ~い!
上映後は、大童先生・激画団・ドンクライ編集部・支援者の方々が入り乱れての打ち上げに突入!
お互いの顔を突き合わせるのが初めてという人も多かったため、最初はぎこちない雰囲気でした(笑)
しかし、お酒が入ると距離も近づき、好きなアニメや将来の活動などの話を通じて「また会いましょう!」と握手を交わすほどに!
激画団のメンバーのなかには、授業のため深夜バスで帰るという子たちもいましたが、帰りがけに
「いつだって作画の中に僕はいます!」
と最高のセリフを残していきました…。
素敵な感想をありがとうございます!
イベント後のtwitterでは、上映会に参加された方々から嬉しい感想が!
空中軍艦アトランティスの上映会終わって帰路についてる。見た感想は…
— 高山瑞穂 (@mizpi) 2018年10月6日
若さって何だ?振り向かないことさ!
愛って何だ?ためらわないことさ!
若さに任せて突っ走る、学生たちの血と汗と涙の結晶みたいなフィルムだった。
その熱量と心意気に自分も力を貰ったよ。
ありがとう激画団!@gekigadan
☺️激画団よかったなあー!「創作ではなく、発信だ」ってのが、漫画を描く小5息子をもつ母としてグッときた。じぶんが観てきたもの/すきな作品に影響されまくった本気のパロディは、ただのマネじゃない。なにをどう集めたかはつくり手のオリジナルでしかないというのも納得。https://t.co/HJWIOTj3Lj
— くーりー|🌰 (@CooleyGee_ff14) 2018年10月6日
激画団さん上映会、最高でした。1人で参加したことをこんなに悔やんだことはない…このシーンはあの作品のあれだね、を話したくてたまらん…帰ったらまずへトップをねらえ!見るぞ…
— すなぎも (@suna_gimo_) 2018年10月6日
激画団の『空中軍艦アトランティス』、素晴らしかったです。最高にアガる音楽と、胸打つ作画。主人公の演技も非常に迫るものがありました。対談における監督の熱っぽさと冷静な自己批評を伺って、ますます応援したくなりました。DVD化が待ち遠しいです。
— 新八角 (@noctogone) 2018年10月7日
激画団(@gekigadan )× 大童澄瞳さん(@dennou319 )トークライブ破茶滅茶に面白かった……
— 怪談師 志月かなで@10/13バースデーイベント✨ (@kwaidangirl) 2018年10月7日
爆発、煙、ロケットのことなど、そこまで注目して見たことがなかったから、絵を描く人の脳みそを覗けたみたいでとても面白かったです。
知らないことがたくさんあるなあと思いました。
行って来た!「こだわり」とか「他人から見たら非効率的なこと」がその人を尖らせ、形作るんだなと改めて思った対談だった...
— 外山トム (@toyamarudasi) 2018年10月7日
作品もそうだけど、大好きな漫画の『映像研には手を出すな!』作者の大童さんのお話聞けたの本当によかった。今日は漫画を抱いて寝よう https://t.co/heVWlwnSyw
どれも見ていて涙がでるほど嬉しい言葉たち!
もともとは無名の大学生だった彼らのアニメが、これだけ多く人たちの胸を打ったことを知ると、やってきたことには大きな意味があったのだと、しみじみ……。
まだゴールじゃない!
打ち上げも終わり、これで終わり……とはまだまだなりません!
13日/14日は京都での上映会もありますし、27日には再び東京でスペシャルゲストを招いたイベントも残っています!
twitterの反響やこの記事で興味を持って下さった方がいれば、ぜひ劇場に足をお運び下さい! 限られた数ですが当日券も用意してあります!
激画団という大学生たちが、自分たちの魂をそのまま映像にした「空中軍艦アトランティス」という作品は、その目で見届ける価値があります。断言できる。
これは大学生のお遊びなんかじゃない。彼らの本気の覚悟なんだから。
書いた人:餅男(DON'CRY編集部)