大童澄瞳(おおわら すみと)氏による、『映像研には手を出すな!』という漫画がとにかく面白い!
〜あらすじ〜
アニメ制作 × 女子高生、青春冒険譚!
アニメは「設定が命」の浅草みどり、カリスマ読者モでアニメーター志望の水崎ツバメ、金儲けが大好きな美脚の金森さやか。
ダンジョンへ、戦場へ、宇宙へ--
想像の翼を広げて、電撃3人娘が「最強の世界(映像)」を創り出す!
オタクとして生きる人生を励まされることが多い、この漫画。
「主役3人のキャラから誰か選んで語ってみて」と編集長に言われ、 僕が選んだのは、水崎ツバメちゃん(上の画像一番右)。浅草ちゃんと金森氏の仲に後から入ってきて、 化学反応を起こした子である。
では、どこを語りたいかといえば、やはり彼女と親の関係性だろう。
(※※以下、ネタバレを含むので2巻を読んでない方は回れ右!※※)
こだわりで自分を救い、生き延びる
映像研2巻は、彼女がフィーチャーされた巻だった。 特に素晴らしかったシーンはここ。
私はチェーンソーの刃が跳ねる様子が観たいし、 そのこだわりで私は生き延びる。
大半の人が細部を見なくても、私は私を救わなくちゃいけないんだ。
動きの一つ一つに感動する人に、私はここにいるって、言わなくちゃいけないんだ。
そう宣言するシーンだ。
何度読み返しても、心の奥の熱い部分の温度が上がる。
そう、言わなくちゃいけない。
「好き」を追求するなら、自分で自分を救って、大声をあげないといけない。
そうやって、「自分だけが分かればいい」と「全員に認めてもらいたい」の間を行き来するのが、クリエイターの人生なのだ。
クリエイターは諦められても、「好き」は諦められない
僕は、高校のときに小説を書いて、大学のときに映画を撮って、挫折した。
親にはずっと理解されなかった。
学校に行ってる最中に机を漁られて、書いてる途中の小説を読まれて 、「ああいうので食べていくのは、無理だと思うぞ」って言われた時は、身体が熱くなって頭が沸騰しそうになった。
「今に見てろよ凡人」
そう思いながら、部活が終わった後、深夜に書き続けた小説はあっけなく落選した。
でも、今なら分かる。なんでそこまで、「無理だ」と言われてカチンときたか。
多分、うっすら自分も感じてたからだ。 自分はクリエイターじゃない。自分のような才能では、面白い作品なんかつくれない。
そうして、編集者やプロデューサーを目指した。
自分でつくれないならば、せめて、 自分の好きを突き詰めるために生死をかけている人を、人生を賭けて応援したくなったのだ。
水崎ちゃんは、「役者になれ」と言われていた両親に、 映像研でつくった渾身のアニメを見せて、
「ツバメの才能は観察眼なのよ」
「でもほら、知らないうちに、独創性も持ったんだ。」
そう認めさせることができた。
更に彼女は、両親に対しこう漏らす。
「私が生きる」ってことは、こういう物をひたすら作るってことなんだって。
これは、もう、どうしようもない。
かっこいい。
心の底から、その生き方を応援する。
今の僕はクリエイターとして生きるつもりはないが、 その道を諦めたからこそ、ほかの道を探すことが出来た。 そして、ようやくその道が見えてきたところだ。
人には向き不向きがあって、強みと弱みがある。
そして同時に、自分の「好き」だってある。
少し腐った時期もあったが、彼女が「私が生きる」理由を見つけ、周囲にそれを認めさせてゆく姿を見て、熱くなれた僕の心はまだまだ捨てたものじゃない。そう思えることができた。
ありがとう、映像研。
書いた人:匿名希望のプロデューサー
紹介した漫画:『映像研には手を出すな!』
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漫画家、大童澄瞳氏のアカウント