DON'CRY -ドンクライ-

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仕事で大事なことは全てネトゲから学んだ。ネトゲに後ろめたさを感じる全ての人へ

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(出典:amazon / ©スクウェア・エニックス

ネットゲーム、通称「ネトゲ」。
コンシューマーゲームとは違い、意志を持った他人と繋がる、リアルさながらの世界・・・。

そこにあるのは、他人との協力プレイによる連帯感、強敵を倒した時の成長の実感、プレイヤーの“優劣の可視化”による優越感・劣等感、煽り合い、モニター越しの男女の出会い・・・。
まるで生々しいリアル世界の縮図のよう。

僕はそこで中学2年生から高校2年までのおよそ4年間、毎日8時間以上プレイしてきました。

ゲームスキルを上げるために学校を休み、ネトゲ内にチームを作り、他人より良い結果を出すことに明け暮れ・・・。
2ちゃんに「強プレイヤー」として晒され、「自己紹介乙ww」と言われつつ擁護と批判が巻き起こり、これを眺めてニヤニヤする圧倒的な優越感のある生活・・・。

好きなことで承認欲求が満たされる生活は、次第にリアルとネトゲの区別をつかなくさせ、「ネトゲこそが自分にとっての現実世界」という経験をしました。

しかし、果たしてあの日々は、「良かった」のでしょうか? 「悪かった」のでしょうか?

断言しましょう・・・ネトゲにどっぷり浸かった生活は圧ッ倒的に「良かった」と!
ネトゲをやっている方、あるいはやっていた方、そのやりこみは、決して無駄になりません!
むしろネトゲには、社会で生きていく上でのエッセンスが詰まっているのです!(ババァーン!)

さて、そんな今の僕の仕事は広告代理店の営業です。
一般的には体育系の印象が強い仕事ですが、正直に言って、僕は人と接するのが苦手。

それでも、そんな僕が今の仕事を続けられているのは、ネトゲが与えてくれた「戦略的思考能力」というものがあるからだと思っています。

「DECO ONLINE」や「Cabal Online」などのMMORPGにもハマりましたが、今回は特に「ファンタジーアースゼロ」という50人対50人で戦争をする対人ゲームを題材に、「ネトゲで仕事に活きている」知見をシェアしたいと思います。

 

ネトゲで学んだ「仕事のノウハウ」

さて、「ファンタジーアースゼロ」のルールを簡単に説明すると、相手チーム50人分のライフを45分以内にゼロにすることで勝ちのゲームです。

実際のプレイ風景はこんな感じ。

そして、ライフが減る条件は主に2つあります。

①戦地において自軍陣地を増やすことで拠点の構築ができ、陣地の広さに応じてライフにダメージが入ります
②歩兵(プレイヤー)同士の戦いにおいて、歩兵がデッドするとライフにダメージが入ります

簡潔にまとめると、「陣取りゲームとして、その陣地を歩兵(プレイヤー)が戦って奪い合う」というゲームです。

ポイントは、
リアルタイムストラテジー×アクション
・歩兵には異なる特徴をもった複数の職種がある
・全プレイヤーが有人

そう、実はこれは現実でも同じ!
社会人でもそのまま通用する本質的な考え方がたくさん詰まっていたのです。

 

戦略の組み立てと実行


大量の対戦相手がいるネトゲには、「こうすれば、こうなる」という定型はほぼありません。

そうした際には「勝ちの構造を理解して、その流れを作ること」が重要です。
そして、「ファンタジーアースゼロ」では以下のような能力が無意識的に鍛えられていきます。

戦略的に考える力

制限時間の中で、「相手のライフをゼロにする」ためには、いかに陣地を奪うか? 戦場内でどの戦地を攻めるか? そのためにどのように歩兵を動かすか?(資源を使うか?) を考えることが不可欠。

つまり、プレイを通して「目的は何か? その目的を達成するために必要な条件(目標)は何か? その条件を満たすために必要な手段は何か?」を考える「クセ」がつくのです。
それによって、「勝ちの構造」に自然と目が向くようになります。

 

「勝ちの構造」を分析する力

「勝ちの構造」に目が向き始めると、「自軍の動きに対して敵軍がどのように動いたか」に目が向くようになります。
すると、相手の「望む展開」と「望まない展開」が見えてきます。

つまり、目の前の事象だけではなく、その事象が起こった経緯や環境、敵の狙いに目を向けて、「どうしてこうなっているんだ?」と物事の因果関係を捉えた上で、打ち手を考えるようになります。

 

分析し、コミュニケーションする力

「彼を知り己を知れば百戦殆うからず」

そんな孫子の言葉がありますが、敵国や戦場を分析した上で、その場において強い戦略を考え、そして味方にその内容や意図を明確に伝え、動かすことが重要です。

つまり、敵の分析、環境の分析、自分たちの分析をし、戦略を練り、仲間に「伝えて」「動かす」ことまで、一気にやる力がつくのです。

 

優先順位をつける力

ゲーム中、局面がずっと同じ、なんてことはまずありません。
相手とのぶつかり合いを通して刻一刻と変化します。

そこで必要なことは、戦場の変化を察知したリアルタイムの戦略修正、実行のための自分、あるいは仲間の「時間の使い方」の設定でした。

こう書くと当たり前ですが、目標に対する優先順位をつけるクセがついていきます。

 

戦術の組み立てと磨き上げ

戦略を「『敵軍とのライフの削り合い』に勝つための資源(陣地や歩兵、時間)の使い方」
と考えると、これを実行するための方策が「戦術」といえます。

ファンタジーアースゼロ」では大きくは「歩兵戦」が該当し、プレイヤー同士のぶつかり合いにおいて「敵プレイヤーをアクションで上回る」ことが必要です。
そのため、以下のような力が身についていきました。

 

仲間の強みと弱みを理解して、引き出す力

ファンタジーアースゼロ」には特徴をもった様々な職種がありました。
アタッカー、ディフェンサー、攻撃を補助するサポーター・・・。
いずれも単体で歩兵戦を制圧することはできず、異なる職種同士の連携が不可欠。

つまり、「敵のキル」という1つの目標を達成するために、「役割毎の足りない能力を知り」「補い合う」(≒チームで戦う)力がつくのです。

 

個人練する力

ファンタジーアースゼロ」はアクションゲームなので、個のアクションスキルが非常に重要な要素。
さながら格闘ゲームのイメージです。

アクションスキル向上のために、僕は上手いプレイヤーの動きを真似たり、自分のプレイを動画に撮り、上手いプレイヤーに観てもらってアドバイスを貰っていました。

これはつまり、「(未経験の内は)他人の優れた行動を真似ること、そして「課題の発見、改善点の抽出と実行、振り返りというプロセスの実施」であり、仕事においても非常に大切な基本姿勢だったのです。

 

チームプレイを磨く力

いくら強い職種の組み合わせと個の強さを揃えても、それが実際に噛み合うためにはプレイヤー同士の「連携」が不可欠。
チームを作り、ボイスチャットで意思疎通をスムーズにし、チーム内で研究を通じて連携精度を高めていく・・・。

そうういったことは仕事上でもそのまま「強いチームづくり」に活かすことができます。
「個には限界があるからこそ他人をリスペクトし、補完し合う」というチームプレイの力がつきます。

 

チーム以外へ波及させる力

ゲーム中、チームメンバーだけではなく一般ユーザーも一緒にプレイするので、戦争に勝つためには、彼らの理解度を上げる必要もありました。

ここまでくると単位は100人以上の規模ですが、自分たちのプレイを通じて得た経験を体系化し、講習テーマを立ててチャットでの講義と模擬戦争での実技に分けて実施する…といった力がつきました。

 

誤解されがちなネトゲの価値

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(出典:amazon / ©アスキー・メディアワークス
これだけのものを僕に与えてくれた「ファンタジーアースゼロ」、そしてネットゲームそのもの。

しかしながら、ネトゲは社会問題的な文脈で取り沙汰されることがしょっちゅうです。
不登校者の生み出し、学業の阻害、金銭的なトラブル、未成年と成人のトラブル・・・。

確かに、これらは現実に起きている事象ですし、そういう一面があることは否定できません。

ですが、僕がハッキリ伝えたいことは、「ネトゲには人生に役立つ学びがある」ということです!

ネトゲをやっている方、あるいはやっていた方、
そのやりこみは、決して無駄になりません!

仕事でも何でも、どんなフィールドでも活きる経験になると僕は確信しています。

そして、僕もいわゆる「ネトゲ廃人」になり、リアルに支障をきたしたからこそ、リアルも大切だと気づきました。
本当に当たり前のことなのですが、リアルがなければネトゲもできないわけですし。
どちらかがあれば良いわけではなく、両方が大切だったんです。

そこさえ大切にできれば、やり込む価値のあるものです。
ネトゲには、これだけ「人生の学び」が詰まっているのですから!

(執筆:タクヤツカモト 編集:ノダショー)